営業職からタクシードライバーに転職するのはアリ?

「ノルマに追われる毎日に疲れた」「休日も頭の中が仕事でいっぱい…」この先もこの働き方が続くのかと思うと不安になる」

営業職として頑張ってきた方の中には、そんな思いを抱える人も少なくありません。

営業という仕事は、コミュニケーション力や提案力を活かしてお客様の課題を解決していく、やりがいのある仕事です。その一方で、成果へのプレッシャーや人間関係のストレス、長時間労働など、精神的にも体力的にも負担の大きい仕事でもあります。

営業職からの転職を考えている方におすすめしたいのが、タクシードライバーです。この記事では、営業職を辞めたくなる理由やタクシードライバーに向いているポイント、タクシードライバーに転職するメリットについて紹介します。

営業職を辞めたくなる理由

営業職は「数字で評価される明快さ」や「成果を出すことで得られる達成感」が魅力の一つです。しかし同時に、日々のプレッシャーや人間関係、働き方への不満を抱えやすい職種でもあります。ここでは、営業職を離れたくなる理由として多いものを紹介します。

ノルマや成果へのプレッシャーが重い

営業といえば、まず真っ先に思い浮かぶのが「数字のプレッシャー」ではないでしょうか。

営業職では、売上や契約件数などの目標が常につきまといます。成果を出せば評価される反面、達成できなかったときの精神的なプレッシャーは大きく、日々数字に追われる感覚に疲れてしまう人も少なくありません。

とくに個人ノルマが厳しい職場では、達成のために無理な営業を求められることもあり、「お客様のための提案」という本来の姿勢を保つことが難しくなるケースもあります。

また、成果が出せない時期が続くと、上司からの詰問や社内での評価にも影響が出やすく、精神的なストレスが溜まりやすくなります。「努力しているのに報われない」と感じて、次第にモチベーションを失ってしまう人も多いようです

人間関係に疲れる

取引先との信頼関係づくりは営業職の重要な仕事ですが、その分、気を使う場面も多く、断れない空気にストレスを感じることもあります。

さらに、社内でも上司からのプレッシャーや同僚との競争、先輩との上下関係によって、息のつまるような環境になってしまうことも。社風によっては営業特有の体育会系的な雰囲気や、飲み会・上下関係への強いこだわりが残っていることもあり、自分に合わないと感じて転職を考える人もいます。

拘束時間が長く、オンオフの切り替えが難しい

営業職は表向きには「定時退社」とされていても、実際にはアポの調整、報告書の作成、翌日の準備などで毎日のように残業になるケースが少なくありません。

また、外回り中の移動時間や休日の連絡対応、接待や飲みの付き合いなど、業務の枠を超えた拘束がある場合も。オンとオフの切り替えがしにくく、心のどこかで常に「仕事モード」でいることに疲れてしまう人も多いです。

成果主義ゆえに将来が不安定に感じることも

営業職は成果が評価されるぶん、成果が出せなければ立場が不安定になりがちです。特に業界によっては景気の影響を受けやすく、売上が減るとすぐに業績悪化や人員削減といった話に直結することもあります。

また、「年齢を重ねると新規営業がきつくなる」「プレイヤーを続けていくのは限界がある」といった将来的なキャリア不安を抱える人も多く、「このまま何十年も続けていけるか?」と立ち止まって考えるきっかけになることも少なくありません。

営業経験者がタクシードライバーに向いている理由

タクシードライバーは、ただ車を運転するだけではなく、お客様とのやり取りや臨機応変な対応力が求められる仕事です。そのため、営業職で培ったスキルや経験が、意外なほど活かせる場面があります。ここでは、営業職出身者がタクシー業界で活躍しやすい理由を紹介します。

コミュニケーション力を活かせる

営業職では、初対面の相手と信頼関係を築くための会話力や、相手の立場に配慮した対応力が求められます。こうしたスキルは、タクシーに乗車されたお客様との自然なやり取りや、気持ちよく目的地までお送りする際にとても役立ちます。

また、必要以上に話しかけるのではなく、相手の空気を読む姿勢も営業で鍛えられていることが多く、「接客の心地よさ」という点で評価されやすいのも特徴です。

状況に応じた柔軟な対応ができる

営業の現場では、相手の反応に応じて話し方を変えたり、提案の仕方を工夫したりと、柔軟な対応力が不可欠です。この力は、タクシードライバーとして働く中でも発揮される場面が多くあります。

たとえば、お客様が急いでいる様子ならルートを確認しながら効率的な道を選んだり、会話を控えたほうがよさそうなときは静かに過ごしたりと、場に応じた行動ができる点は強みになります。

自分で考えて動くスタイルに慣れている

タクシードライバーはある意味、一人で仕事をコントロールするスタイル。ルートの選び方や休憩のタイミング、効率的なエリアの判断など、自分で考えて動く力が求められます。

これは、個人プレーの多い営業職とよく似ています。「今日はどこを回るか」「どんな提案をすれば成果が出せるか」などを自分で考えてきた営業経験者にとって、主体的に動けるタクシーの仕事は意外とフィットしやすいのです。

目標に向かって努力する力がある

営業で数字を追い続けてきた人は、「どうすれば成果が出るか」を考え、行動に移すことが習慣になっています。

タクシーの仕事も歩合制であることが多く、「どう動けば売上が上がるか」「どの時間帯が効率的か」といった工夫次第で収入が変わる仕事です。目標に向かって計画を立てて動けるタイプの人は、タクシー業界でもしっかり成果を上げやすい傾向があります。

タクシードライバーは未経験からなれる?

タクシードライバーは、運転に関わる仕事でありながら、専門的な職歴や経験がなくても始めやすいのが特徴です。ここでは、未経験からでもタクシー業界に挑戦できる理由を具体的に紹介します。

普通二種免許の取得は会社がサポートしてくれる

タクシー業務を行うには「普通自動車第二種免許」が必要ですが、多くのタクシー会社では、入社後に取得することを前提にしています。教習費用を全額会社が負担する制度を整えている企業が多く、経済的な負担をかけずに資格を取得できます。

また、取得に必要な教習スケジュールも会社側が調整してくれるため、働きながらでも無理なく進めることが可能です。

研修・教育制度が充実している会社が多い

未経験の方でも安心して始められるよう、多くの会社では研修体制が整備されています。座学では接客マナーや法令、地理知識などを学び、実地研修では先輩社員の同乗指導を通じて、実務感覚を身につけていきます。

営業職出身者にとっては、接客や言葉遣いなどすでに身についている部分も多いため、未経験ながらスムーズに現場になじむケースも少なくありません。

異業種からの転職者も多く活躍している

タクシー業界は、異業種からの転職者が非常に多く、営業職出身のドライバーも各地で活躍しています。

最近では、若手の採用を積極的に行っている会社も増えており、20代・30代で異業種から転職してキャリアを築いている人も珍しくありません。もちろん、40代〜50代の中途入社も珍しくなく、「転職が遅かったかも」と感じる人でも十分に活躍できる土台があります。

営業職から転職して感じやすい「タクシードライバーの魅力」とは

営業職からタクシードライバーに転職した人の中には、「以前より働きやすくなった」「精神的に楽になった」と感じている人も少なくありません。ここでは、営業職の経験がある人だからこそ気づきやすい、タクシードライバーならではの魅力を紹介します。

数字に追われない働き方ができる

営業職では、常にノルマや目標に追われる日々が続きます。上司からの報告・進捗確認・数字管理といったプレッシャーが精神的な負担になり、「もっと自由に働きたい」と感じていた人も多いのではないでしょうか。

タクシードライバーの仕事も歩合制ではありますが、自分のペースで売上をコントロールできる柔軟さがあります。たとえば、「今月は少し無理せず働きたい」「来月は稼ぎたいから夜の時間帯も増やそう」など、自分で仕事量を調整できるのが大きな違いです。無理に追い詰められたり、人と比較され続けたりすることが少なくなるため、「気持ちにゆとりができた」という声もよく聞かれます。

自分の裁量で時間を使いやすい

営業職は、取引先のスケジュールやアポイントメントに縛られがちで、自分で時間をコントロールするのが難しい仕事でもあります。

一方で、タクシードライバーは勤務時間や休憩の取り方にある程度の裁量があり、慣れてくれば「今日はこのエリアを中心に動こう」など、自分なりの工夫がしやすくなります。

家庭との両立や、心身のコンディションに合わせた働き方ができる点は、営業職にはなかった自由さと感じられることが多いようです。

オン・オフの切り替えがしやすい

営業職では、仕事が終わっても翌日のアポや報告資料のことを考えてしまったり、土日でも電話がかかってくることがあったりと、心が常に仕事モードになっていたという人も多いのではないでしょうか。

タクシードライバーの場合は、勤務時間が明確で、仕事が終われば完全にオフ。特に隔日勤務などでは「働いた次の日は丸一日休み」というケースも多く、趣味や家族との時間、リフレッシュの時間をしっかり確保できる働き方です。「働くときは集中して働く」「休むときはしっかり休む」というリズムを持てるようになり、精神的な余裕を取り戻したという声もよく聞かれます。

接客のやりがいを、もっとシンプルに感じられる

営業職では、提案や交渉、プレゼンといった複雑なやり取りが求められ、「契約につなげなければ意味がない」といったプレッシャーを感じる場面も多くあります。

一方、タクシードライバーの接客は、乗車から降車までの限られた時間の中で、快適な移動を提供することが役割です。「ありがとう」と言ってもらえる瞬間が、よりシンプルにやりがいとして感じられるのは、営業とはまた違った魅力です。

タクシードライバーに関するよくある不安

未経験からタクシードライバーに挑戦するにあたって、仕事内容や収入、働き方に不安を感じる人も少なくありません。特に営業職からの転職となると、ギャップが大きく思えるかもしれません。ここでは、よくある不安とその実情について整理しておきます。

道に詳しくないけど大丈夫?

「営業で車の運転はしていたけど、道を覚えるのは苦手で…」と心配になる方も多いかもしれません。しかし、多くのタクシー会社では最新のカーナビや配車アプリが導入されており、初めてのエリアでも安心して走行できます。

また、入社後の研修で地理に関する基礎知識やルートの組み立て方を学ぶ時間がしっかり確保されているため、現時点で詳しくなくても問題ありません。

収入が不安定にならない?

歩合制と聞くと、「安定しないのでは?」「稼げなかったら生活できないのでは?」と不安になるのは自然です。実際には、タクシー会社の多くが「固定給+歩合」を採用しており、また入社から数ヶ月は固定給のような形で収入が保証されます。

営業と同じように、工夫や努力が収入に直結する一方で、未経験者が安心して働ける体制も整っているため、急激な収入ダウンを心配しすぎる必要はありません。

年齢層が高くてなじみにくいのでは?

「タクシー業界は年配の方が多いのでは?」というイメージを持っている人もいますが、最近は20代・30代の若手ドライバーも増えてきています。

異業種からの転職者が多く、営業、販売、飲食、介護などバックグラウンドはさまざま。未経験の方が多いため、業界全体として“未経験者を育てる文化”が根づきつつあるのも特徴です。

夜勤が怖い・危ないイメージがある

夜間に働くイメージがあるタクシーの仕事。「治安面が不安」「怖いお客様に出会うのでは」と心配する人もいます。

実際には、ドライブレコーダーや車内カメラ、防犯ボタンの設置が進んでおり、安全対策は年々強化されています。また、深夜勤務が必須というわけではなく、日勤のみの働き方や、時間帯を選べる会社も増えてきています。

一人での勤務が不安…

営業は社内外で人と関わる機会が多い職種ですが、タクシードライバーは基本的に一人で働く時間が長くなります。

この「一人の時間」を孤独と感じるか、気楽と感じるかは人によりますが、実際には営業で感じていた「報告・連絡・相談のストレス」や「無駄な会議」から解放されて働きやすくなったという声もあります。

また、帰庫時に他のドライバーと情報交換をするなど、必要なコミュニケーションはあるため、完全に孤立した職場というわけではありません。

まとめ

営業職からタクシードライバーへの転職は、これまでの経験を活かしながら、新たな働き方に挑戦できる選択肢のひとつです。数字に追われる日々から離れ、自分のペースで働けることや、接客のやりがいをよりシンプルに感じられる点は、営業職にはなかった魅力といえるでしょう。

働き方や勤務時間の自由度も高く、転勤や過度な社内競争に疲れた方にとっては、長く続けやすい仕事でもあります。

   
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