公務員からタクシードライバーに転職するのはアリ?

「公務員として働き続けることに不安がある…」「転職を考えることが増えた」

そんな方におすすめしたいのが、タクシードライバーという選択肢です。「安定の公務員」と「歩合制のタクシー運転手」は、正反対に思えるかもしれません。しかし実は、共通点も多く、公務員出身の方に向いている仕事でもあります。

この記事では、公務員を辞めたくなる理由から、タクシードライバーとの意外な共通点、転職するメリットまで、わかりやすく紹介します。

公務員を辞めたくなる理由とは?

「安定している」「福利厚生が手厚い」など、社会的なイメージからも人気の高い公務員という仕事。ですが、実際に働いてみると「このままでいいのかな…」と感じる場面も少なくないようです。ここでは、公務員を辞めたくなる主な理由を紹介します。

異動や転勤で、生活が落ち着かない

特に地方公務員の場合、数年ごとに部署異動があり、同じ自治体内での異動でも仕事内容や人間関係が大きく変わることがあります。国家公務員であれば、全国規模での転勤になるケースもあり、「家族と離れて単身赴任」「子どもの転校がつらい」といった悩みが生まれることも。

年功序列で昇給はするが、裁量が小さい

給与は安定している反面、若いうちに大きな裁量を持てる場面は限られています。どれだけ努力しても評価が反映されにくいと感じることもあり、「もっとやりがいのある仕事がしたい」と思い始める人もいるようです。

副業禁止で、自由な働き方が難しい

民間企業では副業解禁の流れが広がっているなか、公務員は法律上、副業が厳しく制限されています。「本業以外でも自分の可能性を広げたい」と考える人にとっては、選択肢の少なさがもどかしく感じられることもあります。

長時間労働や休日出勤もある

部署によっては繁忙期の残業が多かったり、休日出勤が発生したりすることもあります。「思っていたよりも忙しい」「働き方改革といっても現場は変わらない」と感じることが、辞めたい理由につながることもあるようです。

「このまま定年まで続けるイメージが湧かない」

安定していても、「今の仕事をこの先何十年も続けられるのか」という疑問を持つ方も少なくありません。「もっと自分らしい働き方を見つけたい」「今しかできないことに挑戦したい」といった思いが、転職を考えるきっかけになることもあります。

公務員とタクシードライバーの共通点とは?

「タクシードライバーって、安定とは正反対の仕事じゃないの?」そんな印象を持たれる方もいるかもしれません。

けれど実は、公務員とタクシードライバーには共通点がいくつもあります。仕事のスタイルは違っていても、「安定志向の人に向いている」という意味では、重なる部分が意外と多いのです。

リストラのリスクが非常に低い

公務員の魅力のひとつは、景気に左右されにくく、クビになる心配がほとんどない点です。タクシードライバーも同じように、リストラのリスクがとても低い職業のひとつです。

もちろん民間企業に属する仕事ではありますが、ドライバー個人に売上ノルマのようなものを課す会社は少なく、勤続年数や年齢を理由に職を失うこともまずありません。再雇用制度やシニア向けの雇用も充実しており、長く続けやすい環境が整っています。

地元で腰を据えて働ける

タクシー業界の多くは、営業エリアが地域密着型です。転勤は基本的になく、希望しない限り異動がない職場も多いため、「生活拠点を変えずに働きたい」という方には大きなメリットです。

これは、同じ自治体内で働く地方公務員の働き方ともよく似ています。地域とのつながりを大切にしてきた人ほど、タクシードライバーという仕事はフィットしやすいかもしれません。

定年後も働き続けられる仕組みがある

定年後の再雇用という点では、公務員と同様、タクシー会社にも60代・70代の現役ドライバーが多数活躍しています。

年齢による評価ではなく、「安全運転ができるか」「接客に問題がないか」といった点が重視されるため、体力や技術が伴っていれば年齢はさほどハンデになりません。「年金だけでは不安」「社会とつながっていたい」と考える方にとって、セカンドキャリアとしても選ばれている仕事です。

社会貢献性が高く、人の役に立つ仕事

公務員が「公共のための仕事」であるように、タクシードライバーもまた、人の暮らしを支える「交通インフラ」の一員です。通院や買い物の送迎、雨の日の移動、空港・駅へのアクセスなど、ドライバーの仕事は生活のあらゆる場面に関わっています。特に高齢者や子ども連れ、荷物の多い方などにとっては、なくてはならない存在です。

「誰かの役に立ちたい」「社会の一部として貢献したい」という思いを持って働いてきた方にとっては、そのやりがいを引き続き感じられる仕事と言えるでしょう。

公務員からタクシードライバーに転職するメリット

成果が収入に直結するやりがい

公務員時代は、どれだけ頑張っても給与や評価が年功序列で決まることがほとんどだったかもしれません。一方で、タクシードライバーは歩合制が基本。努力した分、すぐに結果が返ってきます。

「自分の工夫で成果が出る仕事がしたい」「頑張りが正当に評価される環境で働きたい」――そんな思いを持っている方には、タクシーという仕事は大きなやりがいにつながるはずです。

自分の裁量でスケジュールを組める

公務員は「時間管理が徹底されている仕事」ですが、タクシードライバーは逆に働き方の自由度が高いのが特長です。

隔日勤務や日勤・夜勤などの勤務形態を自分で選べる会社も多く、「平日に休んで家族との時間を大切にする」「趣味や副業の時間も取りたい」など、ライフスタイルに合わせた働き方ができます。

決められた枠組みに縛られず、自分でスケジュールをコントロールできる感覚は、新鮮で心地よく感じられるかもしれません。

人と接する力が活かせる

公務員として、窓口対応や市民の相談業務などを経験してきた方にとっては、タクシードライバーという仕事は「接客スキルがそのまま活かせる場」です。お客様とのちょっとした会話や気配りが、仕事の評価やリピート利用にもつながっていくため、「丁寧な応対ができる」「相手に合わせた対応が得意」という方には特に向いています。

地域とのつながりを大切にできる

地域に根差した働き方をしてきた方にとっては、タクシーという仕事もまた「街を支える仕事」と言えるでしょう。

道に詳しい、地名に強い、地元の施設や病院に詳しい――そうした地域の知識や経験は、ドライバーにとって大きな武器です。長く地域に勤めていた公務員出身者なら、土地勘を活かした営業スタイルも築きやすいはずです。

真面目でコツコツタイプの人にぴったり

「派手さより、堅実な働き方をしたい」「一人でじっくり取り組む仕事が好き」――そんな方にとって、タクシードライバーは非常に相性の良い仕事です。まじめに地道な努力を続けられる人ほど安定した収入を得ており、「営業が得意じゃなくても、誠実な接客ができれば大丈夫」とされる場面も多くあります。

タクシードライバーになるには?

「タクシーの仕事に興味はあるけれど、どうやって始めるの?」

そんな疑問を持つ方のために、ここではタクシードライバーとして働くまでの流れや必要な準備、会社選びのポイントをご紹介します。「未経験でも大丈夫なのか?」という不安も含めて、順を追って見ていきましょう。

必要な資格は「普通自動車第二種運転免許」

タクシーを運転するには、普通免許のほかに「普通自動車第二種運転免許(通称:二種免許)」が必要です。これはお客様を乗せて運賃をもらう業務に必要な資格で、誰でもタクシーに乗務するにはこれが必要になります。

ただし、すでに普通免許を取得して3年以上経っていれば受験資格はありますし、多くのタクシー会社では免許取得を全面的にサポートしてくれます。

二種免許の取得は「会社に入ってから」でOKな場合も多い

未経験者を歓迎している会社では、「入社後に二種免許を取ってください」というケースが一般的です。多くの会社では…

  • 教習所の費用を全額または一部負担
  • 教習期間中も研修扱いで日当支給
  • 合格までのサポート体制が整っている

といった仕組みが整っています。つまり「免許がないから応募できない」という心配は不要です。

入社後は、しっかりとした研修からスタート

二種免許を取得したら、すぐにお客様を乗せて営業するわけではありません。ほとんどのタクシー会社では、以下のような段階的な研修があります。

  • 地理の勉強(主要駅・病院・公共施設など)
  • 乗務マナーや接客研修
  • 運転技術の確認
  • 先輩社員との同乗研修(実地訓練)

タクシー業界が初めての人でも安心してスタートできるよう、研修制度が丁寧に整備されています。

会社選びのポイントは「サポート体制」と「働き方」

タクシー会社ごとに雰囲気や制度は大きく異なります。転職先を探す際は、次のような点に注目してみてください。

  • 二種免許の取得費用は会社負担か
  • 研修中の給与はあるか
  • 給与保障制度があるか(例:入社3か月は固定給など)
  • 隔日勤務/昼勤/夜勤の働き方が選べるか
  • 地元に営業所があるか(通勤しやすさ)
  • 無線配車やアプリ配車の導入があるか(稼ぎやすさ)

特に未経験の方にとっては、「スタートダッシュを支えてくれるかどうか」が働きやすさや定着率に直結します。入社前に会社説明会や見学会に参加して、雰囲気を知っておくのもおすすめです。

公務員特有の事情も…転職する際の注意点

公務員からタクシー業界への転職を考えるうえで、あらかじめ知っておきたい注意点をまとめました。

退職までの準備に時間がかかることも

公務員は「すぐに辞める」というわけにはいかないケースが多く、退職には事前の申請や上司との面談など、一定の手続きが必要です。特に地方公務員の場合、年度末の退職が基本とされることもあるため、希望するタイミングでスムーズに転職するには、早めの準備が欠かせません。

また、退職理由を周囲にどう伝えるか、引き継ぎをどう進めるかといった配慮も、公務員ならではのポイントです。

家族や周囲の理解が必要なこともある

「安定した職を辞めて、歩合制の仕事に?」

そう感じるご家族や友人がいても不思議ではありません。特に親世代からは、公務員という職業に対する信頼が根強いこともあり、タクシードライバーへの転職を心配されることもあるでしょう。

そのため、「なぜ転職したいのか」「どんな働き方をしたいのか」をしっかり自分の中で整理し、家族とも率直に話し合っておくことが大切です。

社会的信用やローン審査への影響も考慮を

公務員は「社会的信用が高い職業」として、住宅ローンや賃貸契約、クレジットカード審査などで有利に働くことがあります。転職後すぐは収入証明が出しづらいこともあるため、住宅購入やローン契約を予定している方は、転職前に手続きを済ませておくのが安心です。

収入面は「短期で比べない」ことが大切

歩合制に不安を感じる方もいるかもしれません。ですが、未経験者向けに給与保障がある会社も多く、研修中のサポートも手厚くなっています。

特に最初の数か月は、業務に慣れる期間と割り切ることが大切です。短期的な収入の増減に一喜一憂せず、半年〜1年後の働き方や収入の安定を見据えて計画を立てましょう。

まとめ

公務員からの転職を考えるとき、「次にどんな仕事を選ぶか」はとても大きなテーマです。タクシードライバーは、収入や働き方、長く続けられる環境など、意外にも安定志向の方に合っている要素を多く備えています。年齢を問わず未経験から始められるうえ、二種免許の取得や研修も会社がサポートしてくれる体制が整っているため、初めての方でも挑戦しやすい仕事です。

もちろん、転職にあたっては準備や確認が必要なこともありますが、タクシー業界には「自分の裁量で働きたい」「頑張りを収入に反映させたい」という人が活躍しやすい土壌があります。

   
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