タクシードライバーの繁忙期・閑散期

タクシーは一年を通して利用できるサービスですが、タクシーを必要とする消費者ニーズは時期によって変動します。このページではタクシードライバーの繁忙期・閑散期について解説していますので、まずは働き方をイメージしていきましょう。

タクシードライバーの繁忙期は【12月】

一年の中でも特に、タクシードライバーにとって稼ぎ時と言われる季節として「12月」が挙げられます。そもそも寒い季節であることに加えて、帰省や忘年会なども多い12月はタクシードライバーにとっての繁忙期であり、稼げるタイミングとして覚えておくことが重要です。

12月が稼ぎ時と言われる理由

忘年会などの飲み会が多い

12月は年末を控えた忘年会シーズンであり、職場の関係やプライベートの付き合いなどで飲み会や食事会が催されることも少なくありません。またそれぞれの飲み会なども忘年会ということで普段より開放的になりやすく、遅くまで二次会や三次会が続くこともあるでしょう。

そのため12月はタクシー業界や代行サービスにとって利用者を見つけやすい時期であり、提携している飲食店などから依頼の連絡が入ることも増えてきます。

クリスマスや冬のボーナスなどで買い物をする方が増える

12月は冬のボーナスの時期であり、またクリスマスのようなイベントシーズンであることもポイントです。これにより各業界でも年末商戦が活性化し、社会の空気感が普段よりも財布の紐を緩めやすい点は見逃せません。

またクリスマスなどのイベントのためにプレゼントを購入する人も増えるため、いつもであれば電車やバスといった公共交通機関を利用する人でも、大切な荷物を抱えて歩くことを避けてタクシーを使う機会が増えやすくなります。

帰省等で移動する人が多い

実家が地方にある人や親元から離れて暮らしている人の場合、12月には実家へ帰省することもあるでしょう。また帰省ラッシュによって道路が渋滞することを危惧して、実家への帰省は自家用車でなく電車や飛行機を使うといった人も少なくありません。

そのため普段は自家用車で移動している人でも、帰省中は車での移動が難しくなり、結果としてタクシーを利用するといったケースも増加します。

観光客が増える

上述したように12月はイベントシーズンであり、また冬期休暇などでまとまった休みを取りやすい季節でもあります。そのため、近場のデートスポットから遠方の観光地まで色々なお出かけや旅行を企画しやすいことが重要です。

観光客やカップルなどが増えると、そういった人々からのタクシー需要が増大するため、観光地やデートスポット、人気のエリアなどは特にタクシードライバーとして稼ぎやすい場所となります。

12月の繁忙期にしっかり稼ぐコツ

12月はタクシードライバーにとっての繁忙期といっても、実際に稼ぐためにはきちんと準備してニーズを把握しておくことが大切です。

繁華街を流して忘年会帰りの客を狙う

12月が繁忙期となる理由として、忘年会シーズンであるという明確な条件がある以上、必然的に夜の繁華街などをターゲットエリアとして狙うことが重要です。また店ごとの客層や営業時間も調べておき、効率的に忘年会帰りの客を見つける準備も役立ちます。

その他、飲食店などの提携店を増やすといったコネクション作りもポイントです。

日勤はデパートや商業施設で付け待ち

冬のボーナス商戦やクリスマスの買い物などに関連して顧客獲得を目指す場合、昼間はデパートやショッピングモールといった商業施設を中心に顧客を探すことも1つのアイデアです。

また雪や雨といった天気であれば特に大切な荷物を濡らさないようにとタクシーを利用する人も増えるため、その日の天候を調べておくと同時にそれぞれの商業施設の周辺環境や地下街の有無なども意識してください。

観光スポットで旅行客を狙うのもおすすめ

観光客やデート中のカップルを狙うことも効果的です。昼間であれば観光客の多い観光地を中心に顧客を探して、日暮れ以降はデート中のカップルを狙うといった時間帯によるエリアやニーズの変化を考えることも大切です。

また海外からのインバウンド観光客を狙う場合に備えて、外国語対応の準備をしておくといった配慮も収入アップへつながります。

タクシードライバーの閑散期は【1月・2月】

タクシードライバーにとっての繁忙期として12月が考えられる反面、当然にタクシー業界としての閑散期や稼ぎにくい時期もあります。そのため、そういった時期にはそもそも顧客獲得が難しいことを理解したうえで、効率的な業務を考えることが肝要です。

1月は利用客が少ない

12月の忘年会シーズンやイベントシーズンで散財する人も増える一方、年が明けて1月に入ると一気に財布の紐が固くなることも無視できません。また家族や親戚のためにお年玉を用意しなければならないといった日本ならではの伝統も個々人の経済活動に影響します。

さらに年明けは営業をしている店舗や商業施設が減り、また営業していても通常より短い営業時間というケースが増えます。

このように1月は色々な面からタクシーへの需要が減りやすく、タクシードライバーにとって閑散期となることがポイントです。

2月は日数が少ないため収入が落ち込みやすい

2月も1月に続いて閑散期になりやすく、さらに2月はそもそも暦として日数が少ないことも無視できません。2月は通常で28日まで、閏年でも29日までとなり、単純に乗務できる日数が1年で最も少なくなる月となります。また各企業においても休日や休暇が減るため観光客や旅行客を狙いにくいことは問題です。

ただし、旧正月を祝う中華圏では2月頃から春節が始まり、それに合わせて中国から大量の観光客が訪れやすいことも重要です。そのため2月はエリアによってインバウンド観光客をターゲットにする戦略が求められます。

閑散期でも売上を安定させるには?

まずはお客様の乗車回数を増やす

閑散期に限らず通年で意識すべき売上アップのポイントとして、自身のタクシーを利用してもらえる回数を増やすという取り組みが必須です。

そしてお客様の乗車回数を増やそうと思えば、新規顧客を獲得するだけでなく、定期的に乗車してくれるリピーター客を増やしていくことが欠かせません。

リピーター客の獲得には顧客満足度の増大や利便性の向上が不可欠となるため、安心安全な運転でスムーズに目的地へ移動することはもちろん、ホスピタリティを意識して信頼度をアップさせる営業努力が大切です。またアプリの活用などサービス品質の強化も有効な施策です。

単価と回転率を上げていく

乗車回数を増やしてもなかなか収入アップへつながらない場合、それぞれの顧客単価や回転率に課題があるかもしれません。

タクシー業界における顧客単価とは、1回の乗車でお客様が支払ってくれる運賃の金額です。

タクシードライバーはどうしても乗客を降ろしてから次の顧客を見つけるまでタイムラグのある仕事であり、初乗り運賃の利用者ばかりでは単価を上げることが難しくなるでしょう。そのため長距離を移動するお客様を見極めつつ、売上の発生しない空白時間を減らして回転率を高めていくことが肝要です。

情報収集がとにかく重要

タクシードライバーにとって繁忙期でも閑散期でも積極的に収益アップを目指していく限り、事前の情報収集は絶対的に欠かせません。

特に年末や年度末は道路工事や土木工事といった公共工事の増えるシーズンでもあり、交通渋滞が頻発しやすく、タクシードライバーにとってもタクシーを利用する人にとってもストレスにつながりやすいことが問題です。

そのため日々の道路状況や交通事情、天気予報といった情報を収集すると同時に、各店舗や施設の営業時間やエリアごとの事情などにも意欲的にアプローチしていきましょう。

付け待ちは人が多い場所が正解

特定の施設やスポットで付け待ちをする場合、当然ながら人の多いエリアを選んで、タクシーを利用する人に出会える可能性を高めることが大切です。ただし流れの悪いタクシー乗り場で付け待ちをすると、場合によっては次の客を乗せるまで長時間ずっと身動きできなくなる恐れもあり、あらかじめ付け待ちの利便性についてもチェックしておきます。

また付け待ちではタクシー乗り場を出てから道路へ合流するまでの進行方向を調べて、通勤時や退勤時など時間帯によって方向を使い分けるといった工夫も大切です。

流し営業は視野を広く持つことを意識する

流し営業によって顧客を見つける場合、走行車線側の歩道だけに注目するのでなく、対向車線側の歩道などにも意識を向けながら、タクシーを待っているお客様の姿を見落とさないように広い視野で乗務するようにします。

また単に自分の視界から情報を集めるだけでなく、インターネットやSNSなどからも積極的に情報を集めて頭の中で集客戦略をアップデートしていきましょう。

売上が良かった要因・悪かった要因を分析する

同じ季節や時期であっても、日によって売上の良いことや売上の悪いことがあります。そのためそれぞれの要因を自分なりに反省し、どうすれば売上アップの要因にアプローチして、どのようにして売上ダウンの原因を回避していくのか考えることが肝心です。

タクシードライバーはある意味において移動する会社のようなものであり、個人で事業を営んでいる場合も会社に所属している場合も等しく、自分なりの営業戦略を考えながら経営課題を見据えていく意識が必要です。

休憩をしっかり取ってメリハリを付けて働く

長時間の乗務で稼ぐタクシードライバーにとって、適切な休憩を取りつつ、時間を有効活用するメリハリが大切になります。

休憩をおろそかにして注意力が散漫になれば運転中のリスクが増えるうえ、流し営業で顧客獲得のチャンスを見落としやすくなります。逆に休憩のタイミングが悪ければ、やはり顧客獲得のチャンスを失うでしょう。

自分が走行するルートや時間帯も意識して、休憩ポイントや時間を考えておく備えが重要です。

体調管理・メンタルケアも重要

タクシードライバーは自分の頑張りや成果が売上や収入へダイレクトに影響していく職業です。しかし適切に頑張ってしっかりと働くためには、そもそも自分自身の体調や精神状態が健全でなければなりません。

特にタクシードライバーにとって稼ぎ時となるシーズンは、寒かったり暑かったりと季節的にも体調管理が重要になる時期です。そのため十分な休息を取って体調管理に努めることはもちろん、ストレスチェックやメンタルケアも意識して自分の状態を整えていきましょう。

3月~11月はどう?月別に見るタクシーの忙しさの傾向

3月

3月は送別会シーズンであり、また春休みの時期でもあるため、1月や2月に比べればタクシーにとってチャンスの多い時期といえます。また地域によっては3月の半ばや終わり頃から桜が咲き始め、お花見などを目当てにした観光客が増えることもあるでしょう。

4月

4月は歓迎会シーズンでありますが、昨今は歓迎会を行わないという会社も増えており、また歓迎会を行ったとしても個人で小規模にというケースも少なくありません。

とはいえ、個人間の飲み会や食事会でも回数が増えればそれだけタクシードライバーにとって顧客獲得のチャンスも増えていきます。

5月

5月はゴールデンウィークもあって観光地にとっては繁忙期になりますが、一方で夜の繁華街にとってはあまりメリットの多い時期ではありません。むしろ夏のボーナスを前にして財布の紐が固くなるケースも多く、観光地に客は増えても地元の繁華街では人が減るという場合もしばしば生じます。

とはいえ、普段忙しい人達がようやくGWに息をつけるということもあるため、5月は少ないチャンスを無駄にしないよう注意しながら乗務していきましょう。

6月

梅雨の時期は徒歩での移動を嫌ってタクシーの利用者が増える時期であり、また夏が近づいて暑くなってくることでも冷房の効いたタクシーを利用したいというニーズが高まります。

特に、朝の時点では晴れの予報であったのに天候が急転して昼や夕方から雨になったというような場合は、傘を忘れた人がタクシーを求めるため急に忙しくなることも珍しくありません。

7月

6月の中頃から7月上旬にかけて夏のボーナスが支給されれば、一気に夜の繁華街が盛り上がることも考えられます。また猛暑や酷暑と呼ばれるほどの気温になると、普段はタクシーを使わないと決めている人でもこの時ばかりはとタクシーを利用する可能性が生じます。

夏休みシーズンで観光地が賑わうこともあり、7月は繁忙期の1つです。

8月

8月も7月と同様に稼ぎ時といえる季節です。ただし7月と違って8月にはお盆があり、都市部に暮らす人々が地方に帰省することで、地方の繁華街は賑わうものの都会の繁華街はむしろ活気が静まるといったケースもあります。

そのため自分が乗務するエリアの特性を理解して戦略を練っていきましょう。

9月

8月が終わって9月に入ると、夏の間に散財していたせいで9月は節約しようと考える人も増えます。そのため特に前半は晩夏で気温の高い日もありますが、やはり相対的には売上の落ち込みやすい時期となります。

言い換えれば、9月の売上低下を見越して7月や8月に頑張っておくことも大切です。

10月

10月になれば気候も落ち着いて過ごしやすい時期になり、必然的にタクシーを利用する人の数も減ってきます。また都会の繁華街にとってもあまり売上増を期待できる時期ではありません。

ただし、過ごしやすい季節になることで地方の行楽地では観光客が増えるため、エリアによっては9月で減った売上を回復するチャンスです。

11月

タクシーの繁忙期である12月の直前として、実は11月も重要な時期です。また業種や業界によっては12月に忘年会を行えないため、前倒しで11月の間に行うといった会社もあります。さらに11月の紅葉シーズンはエリアによって観光客が急増する時期でもあり、チャンスは多いといえるでしょう。

タクシードライバーの繁忙期・閑散期に関するまとめ

タクシードライバーという業種には一般的に繁忙期と閑散期があり、それらを理解したうえで働き方や営業努力を考えることが大切です。

また、繁忙期や閑散期といってもタクシードライバーとしての取り組みによっては売上が減ったり、逆に増えたりといったこともあるため、稼げる時にしっかりと稼ぎ、稼ぎにくい時にはチャンスをきっちりつかんでいくといったメリハリを意識してください。

   
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