タクシードライバーには何歳からなれる?

タクシードライバーとして就職して勤務するためには自動車の運転免許だけでなく二種免許の取得が必要になりますが、普通免許と二種免許では取得できる年齢の下限に違いがあります。このページでは、何歳からタクシードライバーとして働ける可能性があるのかについて解説していますので参考にしてください。

19歳からタクシードライバーになれる

タクシードライバーとして顧客を乗せて運賃を得るためには、自動車を運転するための普通免許に加えて二種免許を取得していなければなりません。そして、普通免許と二種免許の取得に関しては年齢制限に違いがあることも重要です。

そもそも二種免許はプロとして車を運転するための資格であり、必然的に相応の運転技術や経験が期待されることから、かつては資格取得に「21歳以上で通算3年以上の運転歴」といった要件がありました。

しかし令和4年5月13日の道交法改正に伴って二種免許の受験資格が改訂され、現在は受験資格特例教習を受講することで「19歳以上かつ運転経験1年以上」の人であれば二種免許を取得することが可能になっています。

19歳で二種免許を取るには?

19歳からでも二種免許を取得できる可能性が生まれましたが、19歳以上であれば誰でも直ちに二種免許取得試験を受けられるわけではありません。

道交法の改正によって二種免許の年齢要件が19歳以上に引き下げられたことは特例的な扱いであり、その特例を受けるためには「受験資格特例教習」を受講することが必要です。また運転経験が最低でも通算1年以上必要になるため、19歳で初めて車の免許を取得してすぐに二種免許まで取得するといったことは不可能です。

受験資格特例教習はタクシードライバーなど業務として自動車を運転するために必要な適正や知識、技術について学ぶものであり、年齢要件に関しては座学や実車教習を合わせて7時限以上のカリキュラムが設定されています。

また「1年以上」という運転経験に関しては、経験年数要件の引き下げにかかる特例を受けるため29時限以上の教習を受けなければなりません。

若年運転者期間について

本来の二種免許の取得要件は「21歳以上かつ3年以上の運転経験」であり、受験資格特例教習を修了して21歳未満の人が特例的に二種免許を取得した場合、本来の受験資格要件が定める年齢に達するまでの期間は「若年運転者期間」として扱われます。

そして若年運転者期間は二種免許を有していても、特例的に資格が認められているという状態になり、通常の二種免許取得者と比較していくつかの制限がある点に注意してください。

具体的には、若年運転者期間内に道交法の違反行為によって違反点数が3点以上になると、改めて9時間の若年運転者講習を受講しなければなりません。なお若年運転者講習の受講は法的義務であり、通知を受け取りながら講習を受けなかった場合は年齢要件の特例が取り消されて二種免許が失効となり、21歳以上に達するまで免許の再取得はできません。

若い年齢からタクシードライバーになるメリット

努力次第で稼げる

タクシードライバーは一般的に長時間ずっと車を運転し続けて、乗客として多くの人を乗せて目的地まで安全に運ぶことで運賃を得ます。そのため、タクシー会社によって条件や報酬既定は異なるものの、タクシードライバーは原則として働きや努力に比例して賃金が上昇していく仕事といえるかも知れません。

そのため若いうちからタクシードライバーとして就職した場合、頑張り次第では同年代の平均的な年収よりも高額の収入を達成できるチャンスがあります。また、体力的に若くて元気な人の方が長時間の乗務に耐えやすいといったこともポイントです。

休みが多く、ワークライフバランスが良い

タクシードライバーの特徴として休日や休みの時間が一般的な職種よりも多いという点が挙げられます。これはタクシードライバーの勤務形態が理由となっており、一般的なタクシードライバーは丸1日タクシーに乗務して、翌日は休息期間として休むという働き方が採用されます。また、この休息期間はあくまでも勤務のために必要な時間であり、公休日はこれに加えて用意されていることが重要です。

つまりタクシードライバーは実質的に休息期間と公休日の両方で休めるため、自分なりのライフワークバランスを考えながら時間を有効活用しやすい職業といえます。

早いうちに個人タクシーを開業できる

タクシードライバーの働き方として、タクシー会社へ就職して従業員として勤務するのでなく、個人タクシーを開業し個人事業主として働くという選択肢もあります。

個人タクシーを開業した場合、それまでタクシー会社へ雇用されていた労働者としての立場から、自分自身が事業主であり責任者であるという立場に変わることが重要です。

個人タクシーは会社によって保護されておらず、リスクについても自分で備えなければならない反面、自分で働き方を考えられる上、事業的に成功すればタクシー会社の従業員として働くよりも高額な報酬を目指せます。

実はタクシードライバー以外のキャリアパスも多彩

タクシードライバーとして働くためには二種免許の取得が必要ですが、二種免許を取得している人の就職先は必ずしもタクシードライバーだけとは限りません。

例えば、エリア内を車で移動しながら乗客を待つ一般的なタクシードライバーの他にも、企業の役員やVIPなどを乗客として貸切のハイヤーを扱うような運転手や、観光地の遊覧ドライブなどを担当する案内人まで、二種免許を取得していることで選択可能なキャリアの幅も広がります。

特に若いうちからタクシードライバーとして経験を積んでおけば、将来的に転職を考えた際にも自分の強みや武器を増やせる可能性があるでしょう。

若いうちからタクシードライバーになるデメリット

基本的なビジネススキルを学べず、転職は不利になりやすい

タクシードライバーという仕事は、タクシー会社へ就職していたとしても基本的に単身で乗務することが仕事の大半であり、また仕事中に人と接する際も大半がタクシードライバーと乗客という関係性になります。そのため、例えば一般的な企業で営業活動や企画などに従事して、ビジネスパーソンとしての経験を積むといったことは難しくなります。

そのためタクシードライバーを退職してサラリーマンとして転職や再就職を希望した際に、ビジネススキルを身につけていないために不利な立場となるリスクは無視できません。

ただし、タクシードライバーであってもビジネスパーソンとしてのスキルや意識を育てることは可能であり、重要なことは自分の働き方や取り組み方であると理解しておくことになります。

世間のイメージがあまり良くない

タクシードライバーは車を使って人を安全に運ぶプロであり、専門スキルを必要とする職種ですが、一方で世間的には退職した人が二度の務めとして働いていたり、一般的な企業で就職できない理由のある人がタクシードライバーを選択していたりという、偏見やイメージがあることも事実です。また勤務時間が不規則で深夜や早朝に働かなければならず、さらに実は休日が多いということもあまり社会的に認知されていないため、自由が制限されて生き辛い仕事であると想像している人もいるでしょう。

加えて若いうちからそのようなタクシードライバーのイメージを背負うことにより、就職活動に失敗したと思われたり、不真面目な生き方をしていると誤解されたりと、さらに年齢的な偏見や悪印象を抱かれるかも知れません。

免許停止になると仕事ができなくなる

若者がタクシードライバーとして働くメリットは色々とある反面、特に19歳や20歳で若年運転者講習を受けて二種免許を取得した人のような場合、若年者運転期間を終えるまでは道交法の違反に伴うデメリットやリスクも、ある程度の年齢に達してから二種免許を取得した人と比べて大きく重くなります。

また、違反点数が累積されて若年運転者講習を受けなければならなくなったとして、きちんと受講しなかったり再び違反行為を重ねて違反点数が3点以上に達したりした場合、二種免許が取り消しとなって働くこと自体が不可能になります。

当然ながら仕事をできないと収入が減るため、日頃から大きなリスクがあるのだと自覚して責任ある運転を心がけなければなりません。

まとめ

道交法の改正で19歳から二種免許を取得できる可能性が生まれました。ただし、若い年齢で二種免許を取得してタクシードライバーとして働くことにはメリットがある反面、若いからこそ考えなければならないデメリットやリスクがあることも事実です。

なお、タクシー会社によっては二種免許取得支援制度を設けている場合もあり、お得にキャリアアップを目指せるチャンスも広がっています。

   
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