【タクシードライバー向け】地図・道の覚え方

普段からあまり車を運転してこなかった人や、日常的にカーナビを使ってそれに頼り切りという人の中には、タクシードライバーとして働きたくても「地図や道を知らないから不安だ」と感じる人もいるでしょう。

このページでは、タクシードライバーがスキルアップを目指す上で意識すべき地図・道の覚え方をまとめましたので参考にしてください。

地図・道を覚えていないとお客様にも迷惑がかかる?

現代のタクシーは多くの場合で業務用カーナビを利用しており、あまり土地勘のないエリアでも目的地まで行きやすくなっています。しかし細かい部分で地図を覚えていないと道を間違えるリスクが高まり、お客様にも迷惑がかかります。

お客様の時間を奪ってしまう

道を間違えると、単純に目的地へ到着するまでに余計な時間がかかってしまい、お客様の大切な時間を奪ってしまうことになるでしょう。

また、お客様の中には本当に大切な用事で急いでいる人もおり、そのような際にタクシードライバーが道を間違えたせいで目的に間に合わなかったり、十分な余裕を持てなかったりすれば、深刻なクレームやトラブルへ発展する危険性まで増大してしまいます。

過失による時間の遅れはお客様の時間を無駄にすることと理解してください。

お客様に余計なお金を払わせてしまう

道を間違えて目的地までの走行距離が長くなれば、必然的に降車時の運賃も上がってしまいます。

お客様にとっては未熟なタクシードライバーのせいで時間を奪われ、さらに大切なお金まで余分に支払うことになってしまい、状況によってはドライバーが故意に料金をつり上げようとしたと誤解される恐れさえあるでしょう。

結果的にクレームにつながる可能性もある

余計な時間がかかり、支払料金が増大し、さらにタクシードライバーの人間性やプロとしての対応そのものに疑いの目が向けられれば、結果として降車時にお客様とのトラブルへ発展するリスクも上昇してしまいます。

また自分が勤めるタクシー会社のイメージそのものが悪化して、SNSで名指しの批判やクレームを投稿されたり、それによって会社や同僚のドライバーの売上にまでマイナス影響が及んだりするかもしれません。

地図・道を覚える方法

主要な道路の名前を覚える

日本国内に走っている公道には国道であれ府道や県道であれそれぞれに番号が割り振られていますが、地元住民の足としてタクシーを利用するようなお客様にはそのような路線番号を覚えていない人も少なくありません。そのため、タクシードライバーとして乗務する際には「御堂筋」や「松屋町筋」などそれぞれの道路や通りの名称を覚えることも大切です。

また国内外を問わず遠方からの観光客などは観光案内やネットに掲載されていた通り名を頼りに目的地を探している人も多く、道や通りの名称を路線番号と対照させながら覚えておくことでプロとしての信頼へつなげることもできるでしょう。

交差点の名前を覚える

タクシードライバーとして乗客から目的地のリクエストを受ける際に、多くなるのが交差点の名称を伝えられることです。そのため、プロのタクシードライバーとして信頼してもらう方法の1つに少なくとも大きな交差点などを記憶しておくことも有効です。

交差点名は信号機の下に標識で掲示されており、音声案内をするカーナビなどでは右左折時に交差点名を案内してくれることも珍しくありません。そのため、普段から意識して交差点名を確認したり、通りの名称と交差点の番号を合わせて記憶しておいたりすることで、スムーズにお客様を案内できる可能性が高まります。

建物を目印にして覚える

例えば道頓堀にあるグリコの看板や、天王寺・阿部野エリアにあるあべのハルカスのように、有名なスポットや目立つ建物を目的地として告げてくる人は少なくありません。そのため、そういったランドマークになるようなスポットについては周辺の状況も含めて記憶しておくことが大切です。

また、特徴的な形状や色など目立つ外観の建物があれば、それを意識しておくことで道路名や交差点名を分からない乗客からのオーダーに応じられる場合もあるでしょう。

ただし、建物を目印にして道を記憶する場合、定期的にそれらの状態を確かめて目印として存在していることをチェックすることも欠かせません。

方角を意識しながら走る

大阪の繁華街や住宅密集地などでは一方通行の道も多く、特定の方向や方角にしか進めないルートは珍しくありません。そのような状況で方角を見失ってしまうと、次の交差点でどちらの方向へ進めば良いのか分からず、逆方向へ進んでしまう恐れもあります。

天気の良い日には太陽の方角を意識しながら走行したり、時間帯によって変化するビルの影の方向などを気にしたりしながら、日常的に方位・方角をチェックする癖を身につけることも地図の覚え方として有効です。

また地図と方角を感覚的にマッチングさせられるようになれば、現在地から目的地まで大まかのルートが頭に浮かびやすくなります。

営業エリアについて下調べしておく

通りの名前や交差点、ランドマークなどを覚えておくと同時に、営業区域で人気のショップや有名な観光地、日常的に人々が集まりやすいスポットなどを総合的に下調べしておくことも大切です。

そもそも、どれだけカーナビが優秀であっても、常にその情報が細心なものであるとは限りません。また、お客様の記憶違いによって目的地に誤解が生じていれば、カーナビを利用することで一層に混乱が深まることもあります。

普段から営業エリアについて調べたり意識的に周囲の景色を観察したりすることで、自然と自分の中にタクシードライバーとしての営業マップを作っていけるようになります。

先輩ドライバーから教えてもらう

どれだけベテランのタクシードライバーであっても、最初に仕事を始めた頃はみんな新人です。そして道や色々なスポットに詳しい先輩ドライバーは、それぞれが自分なりの工夫や努力を積み重ねて現在の知識や経験を持つに至っています。

そのため、慣れない仕事でなかなか地図や道を覚えられない場合は、先輩ドライバーに相談して営業エリア内で乗務する際のコツや、特に意識して記憶しておくべきポイントなどをアドバイスしてもらうことも大切です。

また、先輩ドライバーから親切に助言を受け取れるように、普段から挨拶や会話を心がけてコミュニケーションを深めておくこともポイントです。

お客様から教えてもらう

タクシーを利用するお客様の中には、新人のタクシードライバーよりもはるかに道や周辺の地理に詳しい人もいます。そのため、タクシードライバーとして勤務を始めたばかりの頃は、素直にお客様から教えを請うという姿勢も重要です。

ただし、あまりにも無知だと思われると信頼を失うため、分からなければお客様から道を教えてもらいつつ、必ずその後に自分なりの復習を行って次からはきちんと案内できるように努力することも肝心です。

また、お客様の中には道を誤って覚えている場合もあり、常日頃からお客様の言葉を意識することで乗客が間違いやすい道名などに気づける可能性もあります。

走ったルートを復習する

タクシードライバーとして営業エリア内を走っていると、自然とオーダーを受けやすいルートやコースが見つかってくることもあるでしょう。言い換えれば、自分がお客様を乗せて走ったルートやコースは、再び別のお客様からリクエストされる目的地と関連している可能性があるということです。

そのため自分がその日に走った道やエリアについては、カーナビの走行記録などを利用しながら復習して、改めてルートやコースのイメージを深めておくようにします。また、同じルートやコースでも時間帯や曜日によって大きく印象を変えることもあり、変化を感じたらその都度意識を向けることが肝要です。

なるべく苦手なエリアをつくらないようにする

普段から走っている得意エリアはタクシードライバーにとって強みとなりますが、一方であまり走り慣れていないエリアを苦手に感じてしまう人は少なくありません。しかしお客様にとってはタクシードライバーがどのエリアを得意としているかは分からないため、少なくとも営業区域内とその周辺については苦手エリアを生まないよう全体的に勉強していくことが求められます。

加えて、繁華街や住宅密集地、あるいは学校、公園の周辺など、そもそも人が多かったり道が狭かったりして運転が難しいエリアはあらかじめ把握しておき、慎重に運転する癖を身につけておきましょう。

繰り返し走ることが一番大切

タクシードライバーにとって地図や道を覚える一番の近道は、やはり繰り返し走ってそのエリアを自分の一部にしてしまうことです。

タクシードライバーとして乗務しているだけでなく、普段に道を歩いたり自家用車で走ったりする際にも道の名称や交差点の名前、目印になりそうな建物などをチェックしておき、地名や目的地を言われれば自然のその周辺の風景が浮かんでくるようになれば何よりです。

単にカーナビの画面やスマホの画面に映し出される地図だけを覚えても、実際に走ってみなければ分からないことは少なくありません。様々なタイミングで繰り返し走ることで、知識は経験となり技術へ昇華していきます。

カーナビを使っていると道を覚えられないって本当?

カーナビを使っていると道を覚えられない、という事実はありません。

カーナビを使っていても紙の地図を使っていても、あるいはお客様から伝えられた情報を頼りに運転していても、大切なのはタクシードライバーとして自分が道を覚えて、またサービス品質を向上させようという意識です。

そもそもプロ意識が欠如しており、本気で地図や道を覚えようという気がなければ、カーナビを使っていようがいまいが技術力を高めることは困難です。

カーナビは便利なツールとして上手に活用しつつ、自身もまたプロのタクシードライバーとして成長していくという意欲と努力が重要になります。

まとめ

繰り返しになりますが、誰でも始めは初心者であり、営業区域内でも地図や道を覚え切れていないというケースは少なくありません。しかし大事なのは日頃からタクシードライバーとしてスキルアップを目指していこうという気持ちであり、日常的にルートやコースを意識しながら自分の中に吸収していく取り組みです。

具体的な方法は人によって向き不向きがありますが、だからこそ自分なりに考えながらエリア情報を吸収していきましょう。

   
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