タクシードライバーの地理試験とは

東京23区や大阪府・神奈川県の一部でタクシードライバーになるためには、第二種運転免許のほかにも、地理試験に合格する必要があります。ここでは、地理試験の概要や出題内容、勉強方法などについてご紹介しています。

地理試験とは

地理試験とは、東京23区や大阪府・神奈川県の一部で必須となるタクシードライバーの試験の1つです。国内の大半のエリアでは、第二種運転免許を取得するだけでタクシードライバーになれますが、一部の指定エリアでタクシードライバーになるためには、第二種運転免許に加えて地理試験に合格することが国から求められています。
試験の具体的な名称は「輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験」。この試験では大きく分けて「指定地域の地理に関する内容」と「タクシー業務に関わる法令や安全対策に関する内容」(以後「法令試験」と略)が問われますが、このうち前者に関する試験が地理試験と呼ばれるものです。
なお、これら一部の地域でのみ地理試験が行われる理由は、その地域で働く多くのタクシードライバーが土地勘のない地方出身者のためだと言われています。

地理試験が必要なエリア

国が指定した次の地域で地理試験が必要となります。
・東京都…23区・武蔵野市・三鷹市
・神奈川県…横浜市・川崎市・横須賀市・三浦市
・大阪府…大阪市・池田市・箕面市・茨木市・高槻市・摂津市・島本町・豊中市・吹田市・東大阪市・八尾市・守口市・門真市・堺市・高石市・泉大津市・和泉市・忠岡町

地理試験にかかる費用

地理試験にかかる費用は、東京都の場合が6,800円、大阪府と神奈川県の場合が3,400円となります。
受験費用は会社が負担してくれる場合もあるので、事前に会社へ確認してみましょう。

地理試験の再受験について

地理試験は、合格するまで何度でも受験が可能です。
試験科目は地理試験と法令試験の2つですが、どちらか一方だけに合格した場合には、再受験の際に合格した科目の受験を免除されます。
なお、合格証の有効期限は合格した日から2年間となりますが、タクシードライバーとして勤務している間は、2年経過後でも再受験する必要はありません。指定地域でのタクシードライバーを辞めた場合には、タクシードライバーを辞めてから2年で地理試験の合格証が失効します。これは、指定地域以外でのタクシードライバーとして再就職した場合も同様です。

地理試験の会場

地理試験の試験会場を含め、試験の概要について指定地域ごとに確認しておきましょう。

東京都

試験会場 公益財団法人東京タクシーセンター(東京都江東区南砂7-3-3)
試験日 月・火・金曜日
※ただし、休日・祝日、および12月29・30・31日、1月2日・1月3日を除く
受付時間 地理試験…午前10時まで
法令試験…午後1時まで
試験時間 受験申請手続きから合格発表まで約2時間
合格基準 地域試験…40問中32問正解
合格発表 所要時間内
持ち物 受験料・運転免許書・筆記用具(鉛筆・消しゴム・ボールペン)

神奈川県

試験会場 一般財団法人神奈川タクシーセンター(神奈川県横浜市中区日ノ出町2-130)
試験日 月・金曜日
※ただし月曜日は法令試験のみ
受付時間 地理試験…午前9時~9時20分まで
法令試験…月曜日は午後1時~1時20分/金曜日は午後2時~2時20分
試験時間 各科目1時間
合格基準 地理試験…40問中32問正解
法令試験…45問中36問以上正解
合格発表 所要時間内
持ち物 受験料・運転免許書・筆記用具(鉛筆・消しゴム・ボールペン)

大阪府

試験会場 公益財団法人大阪タクシーセンター(大阪府大阪市鶴見区鶴見4-5-9)
試験日 タクシーセンターに要確認
受付時間 タクシーセンターに要確認
試験時間 各科目1時間
合格基準 地理試験…80点以上
法令試験…80点以上
合格発表 所要時間内
持ち物 受験料・運転免許書・筆記用具(鉛筆・消しゴム・ボールペン)

大阪では、タクシーセンターでの4日間の講習を受けたのち、講習最終日に地理試験を受ける流れとなります。

地理試験の内容

「輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験」では、大きく分けて地理試験と法令試験の2科目を受験します。それぞれの試験内容を見ておきましょう。

地理試験(指定地域の地理に関する試験)

ペーパーテストで、道路、地域、有名建造物、公園、駅、旧跡などの名前や場所を問われます。
試験時間は1時間で、合格基準は正答率80%以上。合格率は約50%と言われ、1回の受験で合格することはやや難しいとされています。

法令試験(タクシー業務に関わる法令や安全対策に関する試験)

ペーパーテストで、法令・安全・接遇の3分野に関する内容が問われます。
法令に関する試験内容は、道路運送法、タクシー業務適正化特別措置法、その他の関連法規。安全に関する試験内容は、交通事故の防止、事故発生時の措置、指定地域における交通自己の発生状況など。接遇に関する試験内容は、タクシードライバーの基本的な心構えと接遇、高齢者・障碍者の乗降への対応など。試験時間は1時間で、合格基準は正答率80%以上です。

地理試験の勉強方法

まずは該当地域の地理試験に関する参考書・問題集等を購入し、道路や地域、有名建造物、公園、駅、旧跡などの場所と名前を覚えましょう。頭の中で地図の概要を描けるようになるまで、繰り返し参考書等を反復して確認することが重要です。
また、実際に道路に出て覚えた内容を確認するのもおすすめです。マイカーやバイクをお持ちであれば良いのですが、お持ちでなければ、レンタカーを借りて実際に道路を運転し、該当地域の地理を頭に入れておきましょう。参考書や路上での勉強と並行し、過去問に目を通してレベルや傾向をチェックすることも大切です。
なお、地理試験の構成は、基本問題と応用問題が半々となっています。普通に勉強すれば基本問題は満点を取れる内容なので、ケアレスミスに注意して挑みましょう。
基本問題で満点を取れば、応用問題で多少分からない問題があっても、合格点に達する可能性は十分にあります。

地理試験の注意点

試験である以上、運悪く不合格となってしまうこともあります。志の高い人や一生懸命勉強した人は、不合格を突きつけられたときの心のダメージが大きく、再受験に向けたモチベーションが低下してしまうかもしれません。
しかし、地理試験の合格率は約50%と決して高くありません。1回の受験で合格する人は少ないと言われる試験なので、たとえ不合格になっても、必要以上に落ち込まないようにしましょう。
試験は週3回開催されており、たまたま問題との相性が合わずに不合格となった可能性もあるので、十分に勉強した方ならば、短期間で複数回受けてみても良いでしょう。
なお、地理試験の問題内容はかなり詳細です。地元の人でも、しっかりと勉強しないと合格できない内容なので、指定地域の地理に暗い地方出身者であっても、不利になることはほとんどありません。

   
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