タクシードライバーの離職率は高い?

タクシー業界においてタクシードライバーの離職率は、全国的な平均離職率と比較してやや高めと言われています。このページでは、タクシードライバーの離職率が高くなりやすい原因や、タクシードライバーが離職を考えるきっかけなどについてまとめました。

タクシー業界の離職率

若者と高齢者でドライバーの
離職率にも差がある?

タクシー業界におけるタクシードライバーの離職率は、新卒採用のタクシードライバーで一般的に10%程度といわれています。これは厚生労働省が発表している新規高卒就職者の平均離職率16.9%や、新規大卒就職者の平均離職率11.6%と比較しても同程度か、むしろタクシー業界のほうがやや低いと考えられます。

しかし、これはあくまでも新卒採用のタクシードライバーのケースです。全年齢で考えると地域などによって違いがあるとされるものの、一般的にタクシードライバーの離職率は20~30%と言われることも。タクシードライバーの離職率が多業種と比較して明確に低いと言うことはできないでしょう。あるいは若者のタクシードライバーの離職率が低めなのに、平均すれば離職率が高まると考えると、結論として年齢層が高くなるほど離職率も高まっているという可能性が想定されます。

高齢のタクシードライバーほど
離職しやすいのか?

タクシードライバーの中には定年退職後に再就職先としてタクシー業界に参入してきた人もおり、全体的に年齢層が高めの職種という見方も可能です。

これはタクシードライバーが年齢を重ねても働きやすい職業であると考えられる反面、肉体的に負担のかかりやすい業務ではどうしても若い時より辛いと感じる傾向があったとしても不思議ではありません。

タクシードライバーは変則的な勤務スタイルで働いたり、長時間の運転などで体へ負担がかかったりと、人によっては大変な仕事として感じられることもある現実は無視できないでしょう。

どんな理由で離職する人が多い?

仕事を辞める理由は人それぞれですが、タクシードライバーの離職理由として代表的なものとしてはいかのような原因が考えられます。

思ったより稼げない、
収入が不安定

タクシードライバーに限らず、就職したり転職したりした後で辞めたくなる理由として、期待していたよりも実際に稼げる金額が少ないというものがあります。

タクシードライバーの多くは給与体系として歩合制が採用されており、積極的に乗務して多くの利用客を乗せることができれば、それに比例して収入も上昇していくことが基本です。しかし、タイミングや状況によってはなかなか利用客が見つからないこともあり、頑張りがそのまま成果に直結する職業でもありません。

そのため慣れないうちは思ったように稼げなかったり、収入が安定しなかったりといったケースも考えられます。

体力が持たない、
長時間労働がきつい

タクシードライバーの勤務スタイルは日勤や夜勤といった働き方よりも、2日を1セットで考える隔日勤務が一般的です。

隔日勤務では休息時間として1日を使い、もう1日で長時間の乗務をするということが基本スタイルとなります。そのため、毎月の休日数は多くなる反面、連続して勤務する時間が長く、一般的な職種よりも長時間労働が常態化してしまうことは重要です。

加えて、タクシードライバーは常に安全運転を行うために集中して業務に従事しなければならず、思っている以上に体力や精神力を使うことも事実です。

事故や交通違反を
起こしてしまうのが怖い

交通事故のリスクは車を運転している以上、ドライバーがどれだけ注意してもゼロにはなりません。また、利用客の中には急いでくれと運転手を急かしてくる人もおり、安全運転や道交法に対するコンプライアンスと、利用客の要望との板挟みでストレスを感じてしまうこともあるでしょう。

その上、どうしても年齢を重ねてくると反射神経や視力、集中力にも衰えが現れます。そのような状況下で、いつ重大事故に遭うかも知れないと不安感が大きくなれば、仕事を辞めたくなる気持ちが強まっても不思議ではありません。

腰痛が辛い

タクシードライバーの職業病の1つに慢性的な腰痛が挙げられます。

タクシードライバーは長時間ずっと同じ姿勢で運転していることが日常的であり、背骨や腰に負担をかけやすい職業です。そのため、タクシードライバーの中には腰痛に耐えながら働いている人も少なくありません。

また、現在はそこまでひどい腰痛を感じていなくても、将来的に体へ与えられるダメージを考えて、早い内にタクシー業界を去って別の仕事へ転職したいと考える人も珍しくありません。

このような職業病は特に年齢を重ねるほどに離職へつながる要因となります。

接客のストレスが多い、
精神的負担が重い

タクシードライバーは不特定多数の人を利用客として迎えるサービス業であり、顧客との距離が特に近い接客業でもあります。またタクシーの車内という密室空間で利用客と過ごす業務の特性上、応対する利用客によっては大きな精神的負担やストレスを感じることもあるでしょう。

加えて、特に夜間や深夜帯の乗務では泥酔客を迎えることもあり、暴言や理不尽な扱いを受けることも想定されます。

あくまでも利用客とドライバーは対等な関係であるものの、現実的に高ストレス接客応対は離職率を高める一因です。

個人タクシーを開業したい

タクシードライバーとして仕事に慣れて思ったように稼げる人だからこそ、タクシー会社を退職するというケースがあります。これは、タクシードライバーとしてのスキルや自信が育ったことで、改めて個人タクシーとして独立したいと考える人がいるからです。

個人タクシーの開業を目指すための退職は、業界全体で見ればタクシードライバーの数において変わっていないものの、タクシー会社にとっては経営の安定化を考える上で課題となります。

働きやすい・続けられるタクシー会社を
選ぶポイント

給与形態

やはり給与形態や給料の額は働くやりがいや達成感を得る上で重要なポイントになります。

基本的にタクシードライバーの給与形態は完全歩合制もしくは固定給+歩合制ですが、タクシー会社の中には新人ドライバーのために給与保証制度を設けていたり、売上によって歩合率を調整しながら固定給の分を高めにしていたりと、タクシードライバーとしての働き方に安定性を提供している会社も少なくないようです。

そのため、就職時にしっかりと給与形態について確認しておくことが肝要です。

研修・サポート体制

研修制度やサポート体制、各種支援制度を設けているタクシー会社は、自社の従業員として働くタクシードライバーを大切にしていると考えられます。また、しっかりとした研修制度やサポート体制が整えられている場合、タクシー業界の未経験者でも研修を終えて速やかにタクシードライバーとして働き、売上を増やしていけるチャンスも広がります。

そのため働きやすい環境を探す上で、研修制度やサポート体制は判断基準の1つです。

勤務シフト・休日

タクシードライバーは隔日勤務としての働き方が一般的ですが、これは乗務日と休息日の2日間を1セットとして、さらに公休日が別に用意されます。そのため全体的には月の半分以上が実質的に休みとなることがポイントです。

一方、長時間の連続乗務が体力的に厳しい場合、日勤や夜勤といった勤務形態を採用しているタクシー会社を選ぶことも有効です。

日勤や夜勤では1日8時間の労働として、朝から夕方、または夜から明け方にかけて働くことになります。

会社の規模感

会社の規模も離職率を考える上で重要です。

厚生労働省が公表している新卒採用者の3年以内の離職率を比較すると、実は従業員や事業所の規模が小さい会社ほど離職率が高いという結果が確認できます。

これは従業員数が少ない会社ほどサポート体制が不十分であったり、従業員一人ひとりへの負担が大きくなったりすることが原因かも知れません。

そのため可能であれば規模の大きなタクシー会社を選ぶことが無難です。

まとめ

タクシードライバーやタクシー業界の離職率は、実は年齢によって差があると考えられ、若年層では離職率が比較的低いものの、全体で見れば高齢ドライバーほど離職率が高まりやすい傾向が推察されます。

反面、タクシードライバーとして仕事を辞めようと考える理由も比較的はっきりしており、それらの事情を理解した上で自分に合ったタクシー会社を見つけることが大切といえるでしょう。

   
あわせて読みたいページ