タクシー業界はブラック？ホワイト？

タクシードライバーは長時間労働や不安定な収入、接客ストレスなどブラックな職種だというイメージを持っている人もいるでしょう。しかし確かに負担もあるものの、実は休日が多いといった面や、業界全体で労働環境改善に取り組んでいるというホワイトな要をもあります。

タクシー業界はブラックなんでしょう？
よくある噂と実際のところ

世間一般でブラックなイメージを抱かれやすいタクシー業界やタクシードライバーですが、実際のところはどうなのでしょうか。

給料が安い、稼げない

仕事や業界がブラックなのかホワイトなのか判断する基準の1つに、やはり給与面の問題があります。

全国ハイヤー・タクシー連合会が公表した「令和4年タクシー運転者の賃金・労働時間の現況」を見ると、全国のタクシードライバーの平均月収は約29.4万円であり、年収の推計学ではおよそ361.3万円（令和3年）となっています。これは国税庁の調査によって明らかになっている令和3年分の全国の平均月収が443万円となっており、両者を比較するとタクシードライバーの平均収入は全体で80万円ほど低いことになるでしょう。

ただし、この結果にはいくつかの理由があり、まずは賞与の問題があります。実は、タクシードライバーの年収が低くなりがちな原因の1つは、他業種と比較して賞与が少なくなりやすいことです。そのため、月収だけで比較すると決してタクシー業界が極端に安いわけでないものの、賞与の分も考慮すると全体的に低めとなっています。

加えて、タクシードライバーにはそもそも定年後の再就職者や、フルタイム勤務でなくパートタイム勤務で働いている人が多いこともポイントです。さらに地方によってもタクシー利用率や売上格差が大きく、見方を変えれば売上を稼ぎやすい時間帯やエリアで積極的に働いているタクシードライバーであれば、高収入を目指すことも期待できるでしょう。

完全歩合制で収入が不安定

タクシードライバーの収入を考える上で忘れてはならない要素の1つに、「歩合制」という給与体系があります。

歩合制とは売上に応じて給与の額が変わる給与体系であり、特に完全歩合制のタクシー会社であれば常に一定の収入をキープし続けることは困難です。そのため、完全歩合制のタクシードライバーは成功すれば高収入を目指せますが、失敗すると収入が一気に下がってしまいます。

ただし、タクシー会社では固定給と歩合制を混合した給与体系を採用している場合も多く、この仕組みであれば売上が悪くとも常に一定の額の給与は得られるため安定性を高められます。

勤務時間が長い

タクシードライバーの特徴として、朝から夕方まで働く日勤、夜から明け方まで働く夜勤、そして乗務日と休息日の2日間を1セットにして乗務日に長時間の仕事をする隔日勤務という、3種類の勤務形態があります。

一般的にタクシードライバーとして稼ごうとする場合、タクシーにとって稼ぎやすい時間帯にしっかりと働ける隔日勤務になります。しかし隔日勤務は休みを挟みながら一度に長時間の乗務をこなすため、慣れるまでは体力的に負担を感じやすいことも事実です。

反面、隔日勤務は公休日と合わせて月の半数以上が実質休みになることはメリットです。またそもそもタクシードライバーは自分のペースで休憩を取れるといったバランス調整を行いやすいこともポイントでしょう。

じゃあタクシー業界はホワイトなの？

給与面や労働時間、安定性など、一般的にブラックのイメージを抱かれやすいタクシー業界ですが、そもそも現在は全国的にタクシードライバーが不足しており、業界全体の取り組みとして労働環境の改善が目指されていることも重要です。

また働き方が多様化する現代において、自分のペースで仕事を調整しやすく、接客応対はあるものの同僚や上司と常に並んで仕事をする必要もなく、休日も多いタクシードライバーはライフワークバランスを考えやすい仕事かも知れません。

とはいえ慣れるまでは負担もあり、根本的に適性が求められる職種でもあるため、人によってはブラック業界だと感じることもあるでしょう。さらに、中には過酷な労働を強いるブラック企業が存在することも残念ながら事実です。

まとめ

タクシー業界がブラックかホワイトかは、業界としての特性よりも、個々のドライバーの考え方や働き方に会社の制度がマッチしているかどうかで左右されます。

収入について成果主義の完全歩合制か、固定給と歩合制のバランスを選ぶのかタクシー会社によって異なりますし、乗客への接客を仕事と割り切れば人間関係でストレスを感じにくくマイペースに働けます。

そのため、タクシードライバーとして働きたいと考えている人は、何よりも自分に合ったタクシー会社を見つけられるかどうかが重要であると覚えておきましょう。