ライドシェアドライバーの求人について

2024年4月から、日本でも限定的にライドシェアが解禁予定です。これにさきがけ、一部のタクシー会社では、ライドシェアドライバーの募集活動を始めています。ここでは、2024年1月時点での日本におけるライドシェアドライバーの求人やライドシェアのメリット・デメリットなどをご紹介します。

ライドシェアドライバーの求人内容

2024年1月現在、実際に公開されているライドシェアドライバーの求人内容を見てみましょう。

A社(東京都中野区)

  • 雇用形態:パート・アルバイト
  • 勤務時間:週1~5日勤務、1日4時間上限、週20時間上限
  • 時給:1,600円~
  • 応募条件:運転免許取得後3年以上経過している方、または運転免許を持つ21歳以上の方
  • その他:ドライバー職未経験者可、ブランク可、ノルマなし

B社(神奈川県横浜市)

  • 雇用形態:不明
  • 勤務時間:不明
  • 時給:不明
  • その他:運転好きな方、隙間時間に働きたい方、東京・神奈川・埼玉近辺にお住まいの方などは歓迎

※いずれも求人内容の例として概要のみ紹介しています。

そもそもライドシェアとは

ライドシェアとは、一般ドライバーが運転する自家用車にお客さんが同乗(相乗り)することです。一般ドライバーが特定の目的地へ自家用車で移動する際、同じ目的地を目指すお客さんを同乗させたり、一般ドライバーが自家用車でお客さんの希望する目的地まで乗せたりなど、ライドシェアにはいくつかのタイプがあります。

ライドシェアの主なタイプは4種類。純粋な相乗りサービスであるカープール型、多人数のお客さんを同乗させられるバンプール型、ヒッチハイクのマッチングスタイルのカジュアルカープール型、アプリなどでマッチングを成立させるTNCサービス型・PHVサービス型です。

これら4種類のタイプのうち、世界で主流となっているのはTNCサービス型・PHVサービス型です。ともにアプリなどを介して成立させるサービスですが、TNCサービス型は、配車プラットフォーマーが原則自由に各ドライバーの管理を行えることに対し、PHVサービス型は、各国の規制のもとで配車プラットフォーマーが管理する形となります。

日本では2024年4月から部分的にライドシェアが解禁予定で、一部のタクシー会社では、ライドシェア解禁に向けたドライバー確保を進めています。

ライドシェアのメリット・デメリット

ドライバーにとってのメリット

すでに所有している資産(自家用車)を活用して収益を得られる点が、ライドシェアのドライバー側における主なメリットの1つです。ライドシェアによって得られた収益は、実質的に車両の購入代金や維持費などの負担を減らす形になるでしょう。

また、会社勤めなどの一般的な仕事に比べ、比較的容易に仕事を始められる点もメリットの1つ。ライドシェアドライバーの仕事を始めるためには、タクシー会社等が設ける一定の要件をクリアして登録する必要はありますが、登録が済めば、すぐにでも仕事を始められます。一般的な会社への就職に比べ、ハードルは低いと言えるでしょう。

「何曜日の何時から何時まで」という具合に、希望する曜日・時間だけ働ける点もライドシェアドライバーのメリットと言えます。

ドライバーにとってのデメリット

ライドシェアにはいくつかのタイプがありますが、2024年4月から解禁となる日本型のライドシェアでは、ドライバーはタクシー会社等のプラットフォームに登録してサービスを提供することが前提です。そのため、もしプラットフォームとなる会社がサービスの提供を停止したり倒産したりした場合、ドライバーは何の補償も受けられずに失職するリスクがあります。

プラットフォームに登録し、かつ基本的にプラットフォームの管理のもとで働いているドライバーですが、実質的には個人事業主と同じデメリット・リスクを抱えている点に関し、各国で議論がなされているようです。

利用者にとってのメリット

利用者にとってのメリットの1つは、タクシー料金に比べて割安となる傾向があることです。一般的な相場では、タクシーに比べるとライドシェアのほうが2~3割安くなると言われています。普段からタクシーでの移動が多い方にとって、割安なライドシェアは魅力的な移動手段となるでしょう。

また、利用者が言語で意思を伝える必要のあるタクシーに対し、ライドシェアの利用者はアプリを介して意思を伝える形となるため、サービスの利用に際して言語の壁が低くなることもメリットです。逆に、日本語を知らない訪日外国人観光客も、アプリ経由なら移動における言語の壁を感じにくくなるでしょう。

利用者にとってのデメリット

プロのタクシードライバーではなく、一般人がドライバーである以上、運転技術や接客等における不安があることは否めません。また、日本では起こりにくいかもしれませんが、ドライバーによる盗撮や強奪、拉致などの犯罪リスクに不安を感じる利用者もいることでしょう。

とりわけ日本ではタクシー会社やタクシードライバーによるサービスの質が高いとされているため、場合によってはライドシェアのサービスの質との間にギャップを感じることがあるかもしれません。

ライドシェアの現状と未来

コロナ禍が明け、急速にインバウンドが回復してきた結果、観光地や都市部をはじめ、全国のいたるところでタクシー不足が顕著になりました。かつては有償ライドシェアの解禁に消極的だった政府も、実情に照らして前向きにライドシェアの議論を進めています。

2023年12月、デジタル行政改革会議は、タクシー不足が深刻化する地域でのライドシェア解禁の方針を発表。2024年4月より、タクシー事業者が運行管理のもと、地域や時間限定でライドシェアがスタートすることが決まりました。

ただし、日本におけるライドシェアの議論には、まだ多くの余地があることも事実です。最終的に日本のライドシェアは、どのような形を目指し、どのような形で決着するのかは決まっていません。

まずは目先のタクシー不足を補う形で部分的に解禁しつつ、今後も専門家を交えた政府の具体的議論が行われていく予定です。

   
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